【介護職】高齢者に多い病気や特徴・観察ポイントは?緊急時はどう対応したらいいの?
介護職では職業上、高齢者が罹りやすい病気や症状などのポイントを知っておくのは必須です。
高齢者は自覚症状がなく自分で気づかずに症状が悪化するパターンも見受けられます。
大事に至らないように日々のケアの中で気づきの力をUPさせましょう。
【高齢者に多い病気と観察のポイントは?】
高齢者に多い病気を覚えましょう。
病気と直接関わりのある症状が見えてくるからです。
フェースシートなどで、担当する利用者がどんな病気を持っているか確認しましょう。
そして、利用者が日常生活の中でその病気がどのような不自由をもたらしているかを考え支援していくことが大切です。
・観察のポイント-
無理な活動をしていないか
精神的なストレスはないか
息切れしたり、呼吸が苦しくなることはないか
胸の痛みはないか
むくみはないか
- 呼吸器疾患(慢性閉塞性疾患、喘息)
・観察のポイント-
息切れをしたり、呼吸が苦しくなることはないか
どのような動作のときに苦しくなるか
発熱や咳、痰がらみはないか
ヒューヒュー音はしないか
精神的な不安はないか
居室は掃除されているか
- 糖尿病
・観察のポイント-
低血糖の症状はないか(空腹、発汗、ふるえ、疲労、脱力感など)
高血糖の症状はないか(著しい口渇、多飲、多尿 、だるさ 、嘔吐、下痢、腹痛など)
食事量、体重の変化
手足の指さきの色や冷たさ
手足の先に傷はないか(治りにくい)
視力の低下、脳梗塞等の合併症はないか
- 脳血管疾患
・観察のポイント-
手足の麻痺はあるか
血圧の急激な変化はないか
激しい頭痛はないか
目の見え方に変化はないか
ふらつきや転倒はないか
ろれつが回らないなどはないか
急に物忘れがひどくなったりしていないか
水分はよく取れているか
・観察のポイント-
便秘は低血圧症は起きていないか
うつ状態はないか
せん妄(幻覚や錯覚)がないか
転倒の危険はないか
- 膝や股の関節症
・観察のポイント-
どのような時に傷みがあるか(立ったとき、座った時など)
食事量や体重は適正か
活動が少なくなっていないか
傷みによるストレスはないか
- 関節リウマチ
・観察のポイント-
手指の変形はどの程度か
関節の痛みや腫れの程度
微熱やだるさはないか
福祉用具の工夫はできないか
- 脱水症
・観察のポイント-
下痢・嘔吐などないか
発熱がないか
唇が渇いていないか
目がくぼんでいないか
食欲はあるか
【高齢者の病気の特徴】
・症状、経過が典型的ではない(非典型的)
・合併症を起こしやすい
脳梗塞で寝たきりを起こして肺炎になる場合があります。
・複数の病気をもっている
1つの病気だけじゃなく、糖尿病、脳血管障害、白内障など複数の病気を持っている場合があります。
・慢性的に経過することが多い
治る病気ではなく、後遺症で経過が長くなることが多いです。
・病状が急変しやすい
症状が急に悪化することがあります。
・脱水、電解質異常を起こしやすい
脱水は高齢者に多い症状です。
・意識障害、せん妄を起こしやすい
精神症状がでやすいのも特徴です。
・薬剤の副作用が出やすい
副作用で様々な症状が生じるので注意が必要です(眠剤を飲んでふらふらするなど)
【緊急時の対応】
緊急時に適切な対応を行うには普段の様子からどう変化したのかがわかる事が重要です。
看護師や救急に報告する際には必ずバイタル測定が必須です。
・体温
通常は35.5~37.0位だが普段の体温との比較が大事
触った時の熱感、顔色、表情、呼吸状態も観察します。
・血圧
麻痺がある場合は、麻痺がない側で測定する。
110~140/60~90位が理想の数値(普段との比較が大事)
・脈拍
通常は1分間に60~80回の規則正しいリズムです。
深呼吸をしてから測定するようにする。
不整脈はないか
・呼吸
通常は1分間で15~20回。
苦しそうかどうか、淡がからんでいないか。
姿勢がかわると苦しいかなども観察。
・意識
会話ができるか
目が開くか
声をかけて目が開くか
つねるなどの傷みの刺激によって目が開くか
つねるなどの傷みや刺激があっても目を開けないが、払いのけたり、顔をしかめたりしないか
上記のバイタルサインの値と普段と比べてどう違うのかを医療職に伝えましょう。
その後の処置や治療は医療職の仕事になります。
介護職は第一発見者で適切に医療職につなぐことが大切になってきます。
また、すべてを一人で行おうとせず役割分担を行いましょう。
看護師へ連絡する人
救急車を呼ぶ人
家族へ連絡する人
保険書など必要書類を用意する人
ストレッチャーの通り道を確保する人
案内係りをする人
他の利用者を不安にさせないことも大切です。
【最後に】
病気の悪化が日常生活に及ぼす影響は大きく、健康管理や日常生活での注意点、今後予測される状況などについても介護職と医療職で打合せすることが大事です。
安心した生活を送っていただくためにしっかり連携を取りましょう。